祝辞

 全日本学生本因坊戦が第50回を迎えたことを心からお慶び申し上げます。
 思えば約50年前、当時関東リーグと東西対抗戦くらいしかなかった私の学生時代に、はじめての個人戦として学生本因坊戦が創設されたことは画期的な事でした。以来半世紀、毎日新聞社のご好意と学生連盟幹事の方々のご尽力、選手たちの活躍等により、良き伝統を引継ぎ、発展させて来られたことに深甚なる敬意を表する次第です。
 私は第2回と第3回の学生本因坊になる幸運に恵まれましたが(第1回は都合で欠場)、当時と比べると、現在の学生囲碁界の隆盛は正に隔世の感があります。
 プロ・アマ戦での学生選手の活躍を見ると、今や学生タイトル戦を制することは、高段プロに勝つことにも匹敵するように思われる程です。
 この多士済々の学生囲碁界の中で、きびしい予選を勝ち抜き、この記念すべき50回大会に参加される32名の選手の皆様は、それだけでも栄誉な事であり、心からお祝い申し上げます。大会では皆様が日頃鍛えた実力を十分に発揮されることを願います。
 私の場合、学生時代に熱中した囲碁も、社会人となってからは、本業の寸暇を惜しんで細々と続けただけでしたが、60歳を過ぎて、ようやく時間にゆとりもできて、また“昔とった杵柄”を楽しむようになりました。若者やこどもたちと一しょに楽しめるのも、囲碁のお蔭であり、感謝しています。
 皆様も、今後いずれ社会人として、いろいろな分野で活躍されることになるでしょう。そして皆様が今の私と同じくらいの年齢になられる頃、学生本因坊戦は第100回の大きな節目を迎えることになります。その時、皆様がお元気で50年の昔を回顧されること、そしてまた一段と盛んになった日本の囲碁界に大きな喜びを感じられるであろうことを切に願う次第です。第50回大会誠におめでとうございます。

平成18年8月4日
第2回、第3回学生本因坊 原田実(70歳)











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